産業医は企業の従業員健康管理等を行う役割を担っています。そして従業員が50人以上の事業場(注1)では、事業者(企業)に産業医を選任することを義務づけています〔1〕。
また従業員数が50人未満の事業場でも医師等にその役割を担わせることを努力義務としています〔2〕。 なお、常時1,000人以上の従業員が従事する大規模事業場や特定の業務〔3〕に常時500人以上の従業員が従事する事業場などでは専属産業医を選任することが必要です。
(注1:人数要件は事業場単位であり企業単位ではありません。また、短時間労働者や契約社員などの雇用者だけでなく、自社に派遣されている従業員も含みます)
産業医の職務は、法律上9つに分類されています〔4〕。
産業医の職務(安衛則第14条第1項)
①健康診断の実施とその結果に基づく措置
②長時間労働者に対する面接指導・その結果に基づく措置
③ストレスチェックとストレスチェックにおける高ストレス者への面接指導その結果に基づく措置
④作業環境の維持管理
⑤作業管理
⑥上記以外の従業員の健康管理
⑦健康教育、健康相談、従業員の健康の保持増進のための措置
⑧衛生教育
⑨従業員の健康障害の原因の調査、再発防止のための措置
また産業医はこれらの活動に加え、月に1回の職場巡視や衛生委員会への参加、長時間労働者に関する情報の把握が必要であり、これらを通じ従業員の実態と現状を知ることでより適切な健康管理等を行うことができます〔5-7〕。
【参考文献・引用】
〔1〕労働安全衛生法 第13条
〔2〕労働安全衛生法 第13条の2
〔3〕労働安全衛生法 第13条第1項2号で定める特定業務(深夜、高温、低温、粉塵飛散、高圧などの状況下での業務)
〔4〕労働安全衛生規則 第14条
〔5〕労働安全衛生規則 第15条
〔6〕労働安全衛生法 第18条
〔7〕労働安全衛生規則 第52条の2第3項